MRI 受信バンド幅
受信バンド幅
k-spaceとならびMRIの理解を困難なものにする代表です。
だけど、そんな難しいものではありません。
MRIでバンド幅というと受信と送信がありますが受信について説明します。
受信バンド幅というとわかりにくいので、
サンプリング時間に置きかえて考えましょう。
サンプリング時間とは、エコー信号を収集している時間です。
つまり、リードアウト(読み取り)をしている時間です。
サンプリング時間は単位が時間です。
これをヘルツ(Hz)であらわしたものが受信バンド幅になります。
例えば、1ピクセルのサンプリング時間0.008sとしますと、1/0.008=125Hz
これが1ピクセルあたりのバンド幅。
周波数方向256サンプリングすると考えると、125×256=32,000Hz
32,000Hzというのが受信バンド幅です。
おー簡単!
えっ?足りない?
では、もうちょっと。
バンド幅の逆数がサンプリング時間になります。
バンド幅がひろいとサンプリング時間は短く。
バンド幅がせまいとサンプリング時間は長く。
なります。
では、
バンド幅がひろいとどうなるのか?
それが知りたいですよね!
バンド幅がひろい=サンプリング時間は短い。
サンプリング時間が短いと、データを収集している時間が短くなります。
ここでMRI信号は、最初にアナログk-spaceに配置されます。
アナログの波信号です。
これをデジタルサンプリングします。
連続の波を離散値のデジタルの数字に変換するわけです。
当然、たくさんサンプリングしたほうが、データは正確になります。
このサンプリング時間が短くなるわけです。
よって、データはサンプリング時間が長いときよりも不正確になるわけです。
結果として、画像のSNが低下します。
ですが、データ収集が高速になり撮像時間は短縮します。
また、水と脂肪のケミカルシフトはバンド幅がひろいとおこりにくくなるメリットもあります。
反対に、
バンド幅がせまいとどうなるのか?
バンド幅がひろいときの反対です。
バンド幅がせまい=サンプリング時間は長い。
サンプリング時間が長いと、データを収集している時間が長くなります。
これは、たくさんデータを収集しているので、データは正確になります。
結果として、画像のSNが向上します。
しかし、データ収集が長くなり撮像時間が延長します。
水と脂肪のケミカルシフトはバンド幅が狭いとおおきくなります。
ここでいう撮像時間とはGREなどTRを最短設定にしているような、
すき間時間がないシーケンスをさします。
ゆっくり撮像している、
古典的SEでは何もしていない時間があるので撮像時間は変化しません。
(何もしていないといっても、遊んでいるという意味ではなく、
励起してからの回復をまっているということですね(笑))。
息止めのGREのT1強調では、バンド幅による撮像時間がシビアにきいてくるので、
バンド幅をひろげ息止めを短くするか、
バンド幅をせまくしてSNをよくするかを悩むところです。
脂肪抑制していない撮像では、
バンド幅を狭くしすぎるとケミカルシフトアーチファクトが出現するので、
バンド幅の設定は気を使うところです。
最大のバンド幅(最小のサンプリング時間)は装置のデータ変換の限界に、
最小のバンド幅(最大のサンプリング時間)はナイキスト理論により制限されるわけです。
ナイキスト理論に反するとエイリアシングがおこるからですね。
受信バンド幅というと、複雑な感じがしますが、
サンプリング時間で考えるとそんなに難しくないでしょう?
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