MRI 周波数エンコードと位相エンコード

投稿者: | 2017年5月27日

MRI 周波数エンコードと位相エンコード

 

2019.8.5改訂しました。

ちょっとくわしく書いたよ!

 

今回は、周波数エンコードと位相エンコードです。

ご存じのとおりMRIデータは直接画像化できません。

そこで、k-spaceに信号を配置するのです。

 

そのk-spaceの縦軸と横軸がそれぞれ、周波数エンコードと位相エンコードです。

どっちが縦とか横とか決まっていませんが。

 

MRI信号を周波数差と位相差によってk-spaceを充填するのです。

周波数エンコードと位相エンコードにはそれぞれ特徴があります。

 

周波数エンコード

周波数の差を利用する。

簡単にすぐできるのが周波数エンコードです。

エコー収集時に傾斜磁場をかけて、

それぞれのピクセルごとに周波数の差をつけるわけです。

周波数の差を利用しているので、chemical shift artifactが出ます。

周波数エンコード方向には折り返しアーチファクトはでません。

この理由として周波数はFOV外にも差をつけることができるので、区別できるのですね。

これが位相方向とは異なる部分です。

周波数エンコードがX軸にもY軸にも適用できればもっとMRIは簡単なのでしょうが、

残念ながら1方向しか周波数エンコードは利用できません。

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というのも、ピクセル内に2方向の周波数差は区別できないからです。

そこで、もう1方向に位相エンコードの登場です。

 

位相エンコード

位相エンコードは位相差を利用する。

そのままですが。

k-spaceの各行で微妙に位相をずらして、位相差をつけるのです。

この位相エンコードに時間がかかります。

基本的には1TRで1位相エンコードです。

ですので、撮像時間はTR×位相エンコード数×加算回数になります。

位相エンコードにはたくさんの欠点があります。

折り返しアーチファクトが出る。

動きのアーチファクトも位相エンコード方向に出現します。

血管の拍動のアーチファクトなんかも位相エンコードに出ますよね。

これも位相エンコードに時間がかかるからです。

折り返しアーチファクトも位相エンコード方向に出ます。

これはFOVが被写体より小さいときに出現します。

FOV外の位相差がFOV内の位相差と区別できないからです。

これは周波数エンコードとは異なる部分です。

これを防ぐには、位相エンコード方向のFOVを被写体よりおおきくするしかありません。

そのせいで、位相エンコード数はふえて撮像時間が延長します。

 

撮像時間を短縮するにはTRを短くする、位相エンコード数を減らす、加算を減らす。

この3つです。

TRを減らすとコントラストが低下する、SNが低下するなどが考えられます。

加算を減らすとSNが低下しますし、そもそも加算1回なら減らすことができません。

そこで、位相エンコード数を減らすのですね。

位相エンコード数を減らすには、長方形FOV、パラレルイメージング、最近では圧縮センシングなどですね。

もちろん位相エンコードも減らすとSNは低下します。

 

長方形FOVの利用法として、

被写体の短い方向を位相エンコード方向に設定します。

頭部ならRL方向。

腹部ならAP方向。

ですね。

ただし、脊椎のサジタルでは動きの影響を減らすため、

あえて長方形の長い方を位相エンコード方向に設定したりします。

これは学生の方で経験がないとピンとこないでしょうが、たとえば胸腰椎サジタルならAP方向のほうが、FOVは短くできますが、頭尾方向を位相エンコード方向に設定して呼吸の影響を減らしています

骨盤腔でも横断像の場合は被写体の距離が短いのはAP方向ですが、動きのすくないRL方向にあえて位相方向を設定したりします。

これらは時間よりアーチファクトが問題になるからですね。

 

パラレルイメージングはここで。

圧縮センシングはここで。

 

位相エンコード方向の動きのアーチファクト対策は、位相方向と周波数方向を入れ替える。

ほかには、k-spaceの収集をPROPELLAR法などのラジアル収集に変えるなどです。

ラジアル収集とは、放射状にk-spaceを充填(じゅうてん)する方法です。

これにより、位相方向が全方向になり動きのartifactが分散するとともに、

k-spaceの中心を何度も充填するので、動きの補正ができるようになります。

 

ちなみに位相エンコードは2方向に対応できます。

それが3D撮像ですね。

スライス方向にも位相エンコードを設定することで、3D撮像が可能になります。

その分、位相エンコードが増えるので、さらに撮像時間が延長します。

 

周波数エンコードと位相エンコードでは位相エンコードにより特徴があります。

位相エンコードの特徴を理解することにより、

MRIが上手にあやつれるようになれます。

 

 

 

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chemical shift artifact

parallel imaging

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カテゴリー: MRI