MRI 標本化と量子化
こんにちは、つよしです。
さてさて久しぶりにMRIについて書こう!
今回はMRIにおける標本化と量子化についてです。
標本化についてはさまざまな本に書いてありますが、
量子化についてはほとんど書いていないですね。
なぜでしょう?
わかりませんが、おそらく知らないのではないかと思います。
たぶん、以前の本をみながら本を書くので書いてない内容はそのままになっているのではないでしょうか?
標本化と量子化というのはアナログデータをデジタルデータに変換することですね。
エコー信号は当然アナログです。
ここでエコー信号を想像してみましょう!
横軸が時間、縦軸が信号の強さになりますね。
このブログは図を使用していないので、脳でイメージしてくださいよ!
エコー信号は連続のアナログ信号なので、それをデジタル変換するわけです。
いわゆるA/D変換です。
これをしないと画像つくれませんからね。
まずは標本化。
標本化は時間軸をサンプルリングするものです。
これはよく本に書かれてあるナイキスト理論です。
「ある周波数の波を再現するには1周期に少なくとも2回サンプリングしなければならない」
というやつですね。
いわゆる受信バンド幅ですね。
サンプリングを細かく(サンプリング時間を短く)すれば(バンド幅を広く)すればデータ収集時間が短くなるので最短TEは短くなりますが、その分SNRは低くなります。
反対に、
サンプリングを大きく(サンプリング時間長く)すれば(バンド幅を狭く)すればデータ収集時間が長くなるので最短TEは長くなりますが、SNRは高くなります。さらにケミカルシフトアーチファクトが大きくなります。
サンプリング時間の最小は装置のデータ変換の限界に、サンプリング時間の最大はナイキスト理論の限界に制限されるわけです。
ナイキスト理論に反するとエイリアシングがおこるからですね。
これで時間軸の標本化についてはおわりです。
次に量子化。
これは信号の強度をデジタル変換することですね。
MR信号はだいたい16ビットに変換されます。
16ビットというのは2の16乗です。
2の16乗は65,536です。
つまりエコー信号の最小を0最大を65,536にするわけです。
真っ黒が0、真っ白が65,536ですね。
白~灰色~黒を65,536階調で表現するわけです。
でも、人間の目って65,536階調も認識できないですよね。
装置データとしては16ビットの信号を持っていますが、
階調としてはそれより低く設定してくれています。
そうしないと、ウインドウを変えるとき面倒になりますからね。
例外としては単純から造影と連続で撮像するようなシーケンスでは単純でも65,536まで余裕をもってそのままのウインドウで設定されています。
そうしないと、造影剤がはいってきたときに信号がオーバーしてしまいますからね。
標本化は本に載っているので理解していると思いますが、
量子化についても理解しておいたほうがいいですね。
例えば脂肪抑制したら病変がよく見えるようになるのは量子化の原理のおかげです。
最大値を設定してそこから16ビット分の濃度差が与えられます。
それで淡い信号差が拡大して視認性がよくなるわけです。
FLAIRも同じですね。
水信号というT2強調で強い信号を抑制することにより、
微妙な炎症変化なんかをとらえることができるのです。
もちろん欠点として脂肪抑制やFLAIRでは抑制しない撮像と比較するとSNが低下します。
エコー信号の最大値が低下するからですね。
CTと違って信号値そのものが一定でない理由が理解できましたか?
MRIは信号値が定点でないかわりにコントラストがよくなるのですね。
標本化と量子化でエコー信号を時間軸と強度でデジタル化できました。
いやー、今回勉強になったね!
なったでしょ?
以上です。
さようなら!