FLAIRで血管が高信号に描出されても血管は狭窄していないことがあるね

投稿者: | 2023年6月1日

こんにちは、つよしです。

 

今回はMRIに関することで。

 

急患だけでなく通常の検査でも脳のFLAIRで血管が高信号に描出されることがあります。

 

hyperintense vessel signやintraarterial signalなどと呼ばれます。

通常FLAIRでは血管は低信号になります。

 

血管が高信号に描出されると異常ということになります。

このとき血管が狭窄している場合もありますが、普通にMRAで血管が描出されることもあります。

 

hyperintense vessel signを知ったときは、FLAIRで血管が見えたら急性期の脳梗塞や!

 

と思っていたのですが、必ずしもそうではないみたい。

だったらhyperintense vessel signは意味がないのか?

 

となりそう。

また、hyperintense vessel signで血管がつまっているかどうかわからないの?

 

そしたら、サインなんて名前をつける意味がなくなりそう。

ということで、FLAIRで血管が狭窄していないのに高信号になる現象について検討してみます。

 

ちなみに1.5Tではこのようなことはなかった気がします。

もう、1.5Tがないので確認しようがないですが。

 

FLAIRのパルスシーケンスを考えてみましょう。

IRパルス印加後は通常のSEと同じようなパルスシーケンスになると思います。

 

T2強調のSE法で血管は低信号に描出されます。

これはFlow Voidですね。

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脳実質は動かないので再収束パルスはあたります。

でも、流れている血液では再収束パルスを印加するときには面内から流れてしまっています。

 

このためT2強調で血管は低信号になります。

FLAIRでも同様なことが起こるので低信号になります。

 

急性期の脳梗塞で血流が止まっているので、脳実質と同じ状況になり高信号になるのです。

 

では血流があるのに高信号なのは…

 

最初のRFパルス、再収束パルスの両方があたっているので、血流が遅いことが考えられます。

MRAを撮像すれば血管は描出されるけど、流れが遅いのではないかと考えられます。

 

ではT2強調では描出されないか?

これはおそらくIRパルスがあるかどうか。

 

IRパルスで脳脊髄液の信号が低下するので、流れの遅い血液信号が目立つのではないかと推測します。

 

1.5Tで目立たないのは緩和時間の違い、SNの違いなどでしょうか?

正解はわかりませんが、推測するとこうなります。

 

ただ、FLAIRで高信号と言っても、血管が狭窄している場合と、今回取り上げた血流が遅い場合の信号は異なります。

 

血管が狭窄している方が高信号になると思います。

血流がある場合はそこまで高信号ではなく、脳実質と同じくらい。

 

これで見分けがつくのではないでしょうか?

これはすべて推測ですので間違っていたら訂正していただくとありがたいです。

 

以上です。

さようなら!

 

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カテゴリー: MRI