眼動脈をMRIで今までよりキレイに描出してくれと頼まれた件

投稿者: | 2021年9月1日

こんにちは、つよしです。

 

先日、タイトルの通り眼動脈をMRIで今までよりキレイに描出してくれと頼まれました。

 

装置はフィリップスのIngenia 3.0Tです。

 

通常の撮像は一般的な3D TOF MRAです。

それでも、それなりに眼動脈は描出されています。

 

通常の3D TOF MRAでいいんじゃないかな?

と思ってしまいます。

 

でも、せっかく頼まれたので、何か条件を作成することにしました。

 

プランは2つしか思いつきませんでした。

 

  1. mDIXON を利用したMRA
  2. 通常のTOF MRAの条件をもっと細かく、かつ、SNをあげる

 

結果として、1のmDIXON を利用したMRAにしました。

 

その理由はmDIXONのwater画像は眼窩内の脂肪が完全に消えます。

これで眼窩内を走行する眼動脈がキレイに見えます。

 

もうひとつの理由としてmDIXONは2つのTEから画像を計算にて作成するのでSNがとても高いのです。

 

欠点としては短いTRなかで2つのTEを取得するので、騒音がとても大きいことです。

 

実際、mDIXON を利用したMRAを撮像してみると、驚くほどキレイに撮像できました。

私の頭の中で描いていたよりも、キレイに描出されたのでうれしかったです。

条件作成後、微調整なしでうまくいくと自画自賛したくなります。

 

ちなみに2の「通常のTOF MRAの条件をもっと細かく、かつ、SNをあげる」方法はイマイチです。

 

理由は脂肪抑制がmDIXONのようには効きません。

また、TEを1つしか取得しないので分解能をあげて、SNを高くすることは撮像時間の延長につながります。

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こういう理由で2の方法はなしです。

 

mDIXON を利用したMRAの条件はだいたい以下に示すものです。

 

周波数エンコード方向の分解能1.1mm

位相エンコード方向の分解能0.7mm

スライス厚0.9mm

スライス枚数は133枚くらいで60mmの範囲です。

撮像時間は4分40秒くらいです。

 

設定のポイントは周波数エンコード方向の分解能を大きくすることです。

3.0TのmDIXON は2つめのTEを3ms以内にすることが推奨されています。

 

周波数方向の分解能をあげるとTEが延長してしまいます。

このため周波数方向分解能は粗く、位相方向の分解能は細かく設定します。

 

mDIXONはTOF MRAのようにマルチチャンクの設定ができません。

(新しいリリースではどうか知りませんが)

撮像範囲を頭尾方向に広げると末梢の血流信号が低下してしまいます。

 

このため3Dのスライス枚数を増加してSNをあげる方法は使えません。

撮像範囲は広げず、SENSEファクターを少なくしてSNを確保します。

 

マルチチャンクが使用できれば、通常の脳のMRAを置き換えてもいいのですが、範囲を広げることができないので脳はTOF MRAです。

 

眼動脈の撮像依頼はほとんどありません。

だから、眼動脈用の条件は作成していませんでした。

今回、依頼されたので作成しましたが、やってみてよかったです。

 

みなさんも眼動脈のMRA依頼があれば1度mDIXONを利用したMRAをお試しください。

 

以上です。

さようなら!

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カテゴリー: MRI