こんにちは、つよしです。
今回はMRIのネタで。
フィリップスから新しい撮像方法「FRACTURE」という撮像シーケンスを教えていただきました!
これは通常、MRIで低信号になる骨皮質や石灰化が高信号に描出されるというものです。
言葉で伝えてもピンとこないかもしれませんが、これはなかなかいいです。
頚椎の後縦靭帯骨化症でとても有用な感じです。
T2強調では椎間板、骨化した靭帯がともに低信号になります。
これが「FRACTURE」では椎間板は低信号、骨化した靭帯が高信号になりハッキリ区別できます。
久しぶりに使うけど「目からうろこ」です。
しかも、有料ではなく従来の装置で使用できます。
これがうれしい。
新しい撮像法があっても、購入が必要だと難しいですからね。
画像はのせませんが、気になる方はフィリップスのホームページで検索してみてください。
気になる撮像条件はIngenia 3.0Tで当院のリリースは5.3です。
頚椎の条件です。
FOV:FH : 350, RL : 150, AP: 100mm, 200スライス, 分解能:1×1×(1/-0.5)
Fold over suppression : 16mm, Slice over sampling : 1.4, Fold over direction : RL
SENSE : RL : 1, AP : 1, slice orientation : coronal
3D FFE, Echoes : 4, TE first : in-phase 2.3ms, echo spacing : 2.3ms
Flip angle : 8, TR : shortest (11), water fat shift : minimum, NSA : 1
撮像時間 : 3分52秒
実際のTEは2.3, 4.6, 6.9, 9.2msとなります。
その後、後処理です。
Image Algebra → Cumulation → (Last TE – Cumulation画像)となります。
これで反転したような画像になります。
私は撮像条件だけ送ってもらったので勘違いして、Cumulationで累積した画像を反転すればいいと思っていました。
実際はCumulation後の画像を使用して(最終TE – Cumulation)でFRACTURE画像になるそうです。
ただ、Cumulationを反転しても見た目で違いはまったくわかりませんでした。
この撮像方法はアメリカのフィリップスの方が開発したそうです。
「Fast field echo resembling a CT using restricted echo-spacing (FRACTURE)」という論文になっています。
論文読もうかと思ったけど4,839円もしたのでやめました。
この撮像方法は3.0Tでin phaseの画像を4つ加算して作成するのです。
in phaseだけなので位相のずれが発生しないところがポイントですね。
4画像加算なのでSNは高く見やすいです。
1.5Tだとin phaseの時間がかかるのでSN的に難しいかもしれませんね。
反転したような「FRACUTRE」画像はホントにCTのような画像になります。
さらにCTと違い微妙に脳脊髄液と頚髄のコントラストがつくので、CTよりさらにいい気がします。
新しい撮像法が増えると追加シーケンスになり検査時間がかかることが気になるところです。
それでも、こんなに有用なら使うしかないと思っています。
CTはdual energyになってMRIみたいになったり、今回の「FRACTURE」のようにCTのようになったり、画像検査はおもしろいですね。
新しい撮像法ですが、新しくない装置でも使える「FRACTURE」を紹介してみました。
別に頚椎だけでなく、どの部位でも使用できます。
微小な骨折などにも有用です。
ぜひ、一度おためしください。
以上です。
さようなら!