磁気共鳴専門技術者試験 解答 第13回 47-50問目
こんにちは、つよしです。
いよいよ最後!
47) 頚部の撮像技術に関する正しい記述はどれか.(正解2 つ)
1. Motion artifact を軽減するため,受信バンド幅を広く設定した.
2. Metal artifact を軽減するため,T1 強調像をspin echo 法からfast spin echo法に変更した.
3. 検査依頼内容が脊椎転移性腫瘍の検索目的であったため,T2 強調像から撮像した.
4. 腕神経叢を評価するため,拡散強調像の脂肪抑制法は局所磁場均一性の高
いCHESS 法を選択した.
5. CSF のflow void artifact 軽減のため,T2 強調横断像にfast spin echo 法を選択した.
正解は1、2です。
1のモーションアーチファクト低減には受信バンド幅を広く、サンプリング時間短くですね。
2のメタルアーチファクト低減にはSEよりFSEですね。エコー収集の時間がはやいので、その分磁化率の差が出にくくなります。
3の脊椎転移性腫瘍ならばT2強調より脂肪が有無の判断が容易なT1強調を先のほうがいいですね。
4の頚部で均一な脂肪抑制効果を得たいならCHESSではなくSTIRですね。
5のCSFのflow voidを避けたいならFSEのT2強調横断像よりGREのT2*強調横断像ですね。
48) 乳腺の撮像技術に関する正しい記述はどれか.(正解2 つ)
1. 血性乳汁分泌の診断にT2*強調像を追加撮像した.
2. 両側乳房撮像において脂肪抑制法は使用すべきでない.
3. 非浸潤性乳管癌の診断に高いb 値の拡散強調像を追加撮像した.
4. 拡散強調像はsingle-shot EPI 法よりもmulti-shot EPI 法の方が歪みは小さい.
5. 造影ダイナミック検査は時間分解能よりも空間分解能を優先した撮像条件を構築する.
正解は4、5です。
1の血性乳汁分泌の診断はT1強調の方が有用だと思われます。
2の両側乳房撮像でも脂肪抑制は必要です。
3の非浸潤性乳管癌で高いb値の拡散強調画像でも検出は困難と思われます。
4の拡散強調の歪みはsingle-shotよりmulti-shotの方が小さいです。これはデータ収集がとぎれることにより位相方向のサンプリングが中断されるからです。もちろん撮像時間が長くなります。
5の乳腺造影においては時間分解能より空間分解能が優先されることが多いです。
49) 頸動脈のblack blood imaging に関する正しい記述はどれか.
(正解2 つ)
1. 呼吸性アーチファクトを軽減するため脂肪抑制を付加して撮像した.
2. プラークの性状を得るために拡散強調画像(b 1000s/mm2)を撮像した.
3. 2 次元データ収集FSE 法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である.
4. 3 次元データ収集再集束フリップアングル法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である.
5. 3 次元データ収集再集束フリップアングル法で撮像する場合は血管走行に対して垂直に撮像断面を設定する必要がある.
正解は1、3です。
1の呼吸性アーチファクト低減には脂肪抑制は有用です。高信号の物質が動くとアーチファクトが顕著になるので。
2のプラークの性状を知るのに拡散強調は有用ではありません。
3の2D撮像では心電同期や脈波同期が必要です。
4の3D再収束フリップアングル撮像では心電同期などはなくても大丈夫です。
低い再収束パルスで血管信号を低下させます。
5の3Dでblack bloodイメージを得たいならば、なるべくinflow効果がでないよう血管に平行の方がいいですね。
50) 心臓の撮像法に関する正しい記述はどれか.(正解2 つ)
1. レトロスペクティブ心電図同期シネ撮像法はフラッシュアーチファクトが発生する.
2. 心臓perfusion MRI はGd 系造影剤をボーラス注入してファーストパスによるT2*減衰効果を利用する.
3. Double-inversion recovery 法を用いたblack blood 法は2つの選択的inversion pulse を用いて血液信号を抑制する.
4. 遅延造影に用いるphase-sensitive inversion recovery(PSIR)法は通常のIR 法よりもTI の影響が少ない撮像法である.
5. 心筋タギング法はスライス内の磁化を空間的に変調させる選択的励起パルス(SPAMM パルス)を用いてシネ撮像を行う.
正解は4、5です。
1のレトロスペクティブ心電図同期ではフラッシュアーチファクトは発生しないかと。
2の心臓perfusionはGd造影剤をボーラス注入してファーストパスによるT1短縮効果を利用していると思います。
3のDouble-inversion recoveryを用いたblack bloodは2つの選択的IRパルスではなく1つの非選択と1つの選択的パルスを用いてblack blood効果を得ます。
4の遅延造影のPSIRは心筋のnullになるタイミングをシビアに探さなくていい撮像法です。それで通常よりTIの影響が小さいわけです。
5の心筋タギングはSPAMM(spatial modulation of magnetization)法パルスを用いて撮像します。格子状にRFパルスを印加し心筋の動きやゆがみを見る方法です。たぶん選択的であっているかと思います。
とうとう第13回終わりました。
正直、大変ですわコレ。
燃え尽きました(笑)。
誰かの役にたつことを願っています。
試験を受けるかた、がんばってください!
以上です。
さようなら!