MRI SNをあげる方法
SNとはsignal to noise ratioの略語で日本語では信号雑音比です。
MRIはgainを対象組織により変更するので、
信号値そのものでは評価ができません。
よって、雑音で割って割合で比較します。
そして、このSNをあげる方法を述べます。
1. 磁場強度
これは簡単です。1.5から3Tになると信号強度は2倍になります。
ですが、静磁場強度が上がるとT1が延長し信号が低下するので実際は2倍にはなりません。
また、RFの浸透の問題も発生するので簡単に計算できるものではありません。
2.コイル
コイルは径が小さいほど近くの信号が強くなります。
ですが、その分深さ方向の信号が弱くなります。
病変に合わせて径の小さいコイルを使用するとSNは向上します。
例えば、耳下腺の検査で頭部コイルを使用するより、円形の1チャンネルコイルを耳下腺部にくっつけて撮像するほうが、SNは向上する場合があります。
現在のコイルは、頭部や腹部用でも径を小さくして、たくさん並べたコイルが主流になっています。
3.マトリックス
現実的にはこれが最も簡単です。
マトリックスを大きくし、1ピクセルに収集される信号量を増やします。
トレードオフは分解能の低下です。
4.スライス厚
マトリックスと同様に1ボクセルに収集される信号量を増やします。
トレードオフはマトリックスと同様に分解能の低下です。
(ちなみにピクセルは面内、ボクセルは立方体です。)
5.TR
TRを長くすれば信号は強くなります。
縦磁化の回復です。トレードオフは時間の延長です。
T2強調であればコントラストも改善するので、TRを長くすることはおすすめです。
T1強調ではT1強調が弱くなるので、コントラストとの兼ね合いです。
6.TE
TEを短くすれば信号は強くなります。横磁化の減衰です。
MR信号は、はじめが一番強いです。
撮像時間は延長しませんが、T1,T2ともにコントラストが変わるので画像をよく確認する必要があります。
7.フリップアングル
GREであればフリップアングルでSNは変わります。
SEは通常90°ですからね。
最大信号になるフリップアングルをエルンスト角と呼びます。
エルンスト角はTRや対象組織の緩和により変わるので何度だったらいいよとは言えません。
8.受信バンド幅
バンド幅を狭くすれば信号は強くなります。
狭いほど雑音をひろいにくいですからね。
トレードオフはケミカルシフトの増加です。
また、最短TRに設定していると撮像時間も延長します。
9.加算
加算を増やせば信号は強くなります。
1回から2回にすれば信号は2倍になりますが、雑音も増加するのでSNは1.4倍になります。
トレードオフは撮像時間の延長です。
10.パラレルイメージング
パラレルイメージングを使用しなければ、信号は正確になりますのでSNは向上します。
トレードオフは撮像時間の延長です。
11.リフォーカスアングル
リフォーカスアングルでもSNは変わります。
これも、TRと対象組織に依存します。
どのパラメータを変更するにしてもトレードオフがあります。
それを考慮する必要があります。
一筋縄ではいかないところがMRIの魅力であり難しさですね。