3T MRIで私が設定している肝臓のT2Wの撮像シーケンスを紹介します。

投稿者: | 2021年4月10日

こんにちは、つよしです。

 

 

今回は3T MRIで私が設定している肝臓のT2Wの撮像シーケンスを紹介します。

 

3Tの腹部撮像は難しくないですか?特に呼吸同期。

わりと苦労して肝臓のT2Wを撮像しています。

わずかな脂肪抑制不良や呼吸の状態でアーチファクトが多くなってしまいます。

 

何種類か準備してそのなかで患者さんの呼吸の仕方にあわせて選んでいます。

それを紹介します。

 

装置はフィリップス社のIngenia3T、リリースは5.3です。

CSははいっていません。

まずは呼吸同期でうまく撮像するには呼気で息が止まっているタイミングのみデータ収集することが大切です。

 

1.Cartesian multishot

 

1.25×1.25×5mmボクセル、TSEファクター:24、k-space:asymmetric、echo space:4.6ms 、SENSE:2.5、RFA:70°、TR:1000ms、TE:80ms、脂肪抑制:SPIR、NSA:2、SMART:no、同期:Navigator trigger and track、minimum TR:2000ms、FC:in-plane、WFS:0.457、設定撮像時間:2:42

 

これが設定した中では最もキレイに撮像できます。呼吸周期がわりとはやい方に使用しています。どうやって呼吸周期を見極めるかはベローズの動きを見ることと最初に自然呼吸でコロナルCINE(0.5s間隔くらい)を20sくらい撮像して判断しています。

 

このシーケンスのポイントはSMARTアベレージングをnoにしているところです。

SMARTアベレージングとは加算回数2以上のときk-spaceの充填するタイミンングをあけて行うものです。1つ目のk-spaceを充填し終えたあとに次にk-spaceを充填するものです。

 

この方法は脳脊髄液など定期的な動きを消すには有効な方法です。

SMARTアベレージングではないk-spaceの充填方法は並行アベレージングです。

この方法は2つのk-spaceの同じ位相エンコードの場所を続けて充填するものです。

呼吸同期の場合、呼吸のズレがあるので、はやめに同じ位相エンコードを充填したほうがアーチファクトは出にくいのです。

呼吸同期で加算2以上のときは並行アベレージングの方がオススメです。

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また、呼吸同期でNavigationを選択するとminimum TRが設定できます。これは同期できるタイミングがきても設定以上の時間がこないとデータ収集しないというものです。これを2000msに設定しているのでT2強調のコントラストが維持できます。

 

また設定TRは1000msとしています。これは通常のTRとは異なり1000ms間データを収集するといものです。

真のTRは1000msプラス呼吸周期に依存します。

 

SENSEを減らして加算を1でもSN的には同じですが、経験上加算2回にした方はアーチファクトが出にくいです。

 

2.MultiVane multishot

 

1.25×1.25×5mmボクセル、TSEファクター:28、k-space:linear、echo space:5.5ms 、SENSE:1、RFA:65°、TR:1500ms、TE:80ms、脂肪抑制:SPIR、NSA:1、同期:ベローズ、FC:in-plane、WFS:0.774、設定撮像時間:3:24

 

私が使用している装置はMultiVaneでSENSEが使用できません。このため時間がかかるのが欠点ですが呼吸周期が長い方に使用しています。呼吸周期が長いと1の方法では失敗してしまうので。

 

TRは1500msに設定していますが、呼気の時間が長い方ではTRを1800などにして撮像時間を短縮しています。

 

3.Cartesian single-shot

 

1.37×1.5×5mmボクセルk-space:linear、echo space:4.5ms 、SENSE:2、RFA:120°、TR:984ms、TE:80ms、脂肪抑制:SPIR、NSA:1、同期:ベローズ、FC:in-plane、WFS:0.5、Half Scan:アリ、設定撮像時間:記録し忘れました

 

1または2の方法で失敗したときの救済撮像法です。single-shotで1スライスずつ撮像していきます。高速収集のためボクセルサイズを大きくしています。動きに強く撮像時間ははやいですが、single-shotのためコントラストは低下します。

T2強調を強くしたいのでRFA120°と高めに設定しています。

 

4.息止め single-shot

 

1.56×1.9×5mmボクセル、k-space:linear、echo space:5.6ms 、SENSE:2、RFA:95°、TR:440ms、TE:80ms、脂肪抑制:SPIR、NSA:1、FC:in-plane、WFS:0.825、Half Scan:0.65、B1mode:11uT、撮像時間:13s

 

 

どうしても呼吸同期がうまくいかないときに撮像します。

ボクセルを大きくして時間短縮。RFAを時間が長くならない程度に設定。ハーフスキャンを使用。それでも短縮できないのでB1modeをいじって11uTとしています。

B1modeは送信するRFパルスの強さだと思います。default設定では13.5uTですので、均等にRFが照射されるか微妙ですが、時間短縮のためには仕方ありません。

 

まとめると同じT2強調ならいつも同じ撮像シーケンスがいいと思います。そうするとSingle-shotの加算1回がもっとも無難です。

ただ、single-shotだとコントラストが良くないのです。

 

それで上記1または2の方法で撮像しています。

1.5Tならばアーチファクトが出にくいのでCartesianのmultishot1種類だけで十分です。

 

3Tはアーチファクトが出やすいので、このような設定にしています。難しいですが仕方ありません。

参考までに私の設定とご自身の設定を見比べてみたらどうでしょう?

 

以上です。

さようなら!

 

 

 

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カテゴリー: MRI