MRI k-space

投稿者: | 2017年3月20日

MRI k-space

 

k-spaceってMRIを複雑なものにしている根本ですね。

ですが、あまり深く考えず理解していきましょう!

k-spaceとは、MRIの信号を置く場所

MRI信号は最初アナログの波データです。

その信号を配置する空間がアナログk-space。

アナログk-spaceをデジタル信号に変換したものがデジタルk-space。

デジタルk-spaceをフーリエ逆変換したものがMRI画像です。

kはドイツの分光学者のKayserさんにちなんだものらしいです。

小文字なのは、絶対温度のK(kelvin)とかぶらないようにですね。

 

k-spaceは直感では理解できない!

どうしても、k-spaceをデジカメの画素のような感覚でとらえようとしてしまいます。

それが間違い。

今までにある感覚をこわさないとk-spaceは理解できません。

 

k-spaceの大きさ

k-spaceの大きさはSNに関係します。

k-spaceと実空間は同じMatrixサイズです。

ですのが、FOVを大きくするほど(Matrixを比例して大きくしても)、SNは上がります。

 

この理由はMRI画像(座標)とk-spaceの位置(座標)が一対一に対応していないからです。

k-space全体でMRI画像を作っているから、

k-spaceが大きくなるほど収集する波の数が増加し、

その分データが増加しSNが上がるのです。

k-space­=みんなはひとりのために、ひとりはみんなのためにです

=全データは1画像のために、1画像は全データだよ(ちょっと苦しい)。

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例えば、脳の撮像で正方形のFOVではなく側頭部のFOVを少し減らして撮像する場合があります。

メリットは時間の削減ですが、トレードオフはSNの低下です。

頭の横の空気の部分だから、削っても損しないと思うじゃないですか?

ですかk-space的に考えると、扱う波数が減少するのでSNは低下するんですね。

 

なかなかX線画像やCTの感覚だと理解できないことです。

また、撮像途中で被写体が動くとアーチファクトになる場合があります。

CTでは撮像している断面になりますが、

MRIではk-spaceのどの部分を充填しているかで、

アーチファクトは異なります。

実際の撮像

SEの場合、1TR間に1つechoを収集します。

そのecho信号は1つの波です。

 

その波は1行の波です。

波1行を充填する場所がk-spaceの1行になります。

 

k-spaceを2Dで考えると、周波数方向と位相方向からなります。

1行を充填する方向は周波数方向です。

そのため1TR間に1周波数方向のデータが充填されます。

 

ですので、k-spaceの位相方向が256列とすると、

256回分、TR時間がかかります。

TRが500msだと500×256=128000ms=128s

約2分ですね。

この位相エンコードをするために、各列で位相エンコード傾斜磁場を変更しています。

 

TRが3000msなどのT2強調では撮像時間が長くなるため、FSEが考えられたのです。

FSEではk-spaceに充填しているechoの時間が異なります。

例えば、echo spaceが10msでETLが10とすると、

TEは10、20、30、…80、90、100のデータをごちゃ混ぜにした信号で画像を作ることになります。

これがボケの原因です。

k-spaceの場所にはそれぞれ役割がある!

k-spaceの中心は画像のおおまかな形、コントラストを、

周辺は細かい仕上げをするように決まっています。

k-spaceの中心に配置するechoは、

位相エンコード傾斜磁場をかけていない最も強いechoが配置されます。

k-spaceの中心から離れるにしたがって、

位相エンコード傾斜磁場を強くして弱いechoを配置していきます。

 

実効TE

FSEではk-spaceの中心に充填するTEを実効TEと呼び、

これが画像の表記TEとなります。

ですので、FSEのT1強調を撮像しようと思ったら、

ETLを10とかには設定してはいけないわけです。

コントラストがおかしくなりますから。

 

撮像時間は位相エンコードが握っている

SEで256列位相エンコードすると256TR分時間がかかります。

そこで、FSEや長方形FOVといったデータを減らす工夫をします。

パラレルイメージングハーフフーリエも位相エンコードを減らす方法ですね。

 

k-space充填(じゅうてん)の順番も重要

k-spaceを端から順に充填する方法であるsequentialやlinearとよばれる方法だと、

実効TEはETLの中間になります。

ですので、T2強調などのTEの長い撮像に用いられます。

 

これとは異なり、centricやlow-highとよばれる方法は、

k-spaceの中心から充填するので、TEの短いT1強調向きです。

また、造影検査で造影ピークをとらえたい場合は、

k-spaceの中心を充填するタイミングがとても重要になります。

 

k-spaceでMRの勉強につまずく方もおおいと思います。

ですが、直感ではなく独特のルールを覚えてしまえばk-spaceも怖くない!

と、思います。
 

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カテゴリー: MRI