MRI FSE
FSEはfast spin echoの略です。
turbo spin echo(TSE)と呼ばれることもあります。
SEに比べて速いってことですね。
どのように速くするかというと、
SEでは90°-180°パルスのあとでエコーを1つ取得します。
1TR間に1エコーです。
FSEでは90°-180°パルスのあとに180°パルスを複数印加し、
その回数分だけエコーを取得します。
1TR間に180°パルス分だけエコーを取得します。
この180°パルスをリフォーカスパルスと呼び、
180°パルスと決まっているわけではありません。
このパルスの数をecho train length(ETL)と呼び、
ETLの数だけ撮像時間が短縮されます。
たとえば、ETL : 8ならばSEに比べ1/8に撮像時間が短縮されます。
魔法みたいですね!
たくさんのETLから設定したいコントラストのTEをk空間の中心に充填します。
このTEを実効TEと呼びます。
通常、sequentialやlinearと呼ばれるk空間の端から順にデータを充填する方法では、
ETLの真ん中が実効TEになります。
ETL9ならば5番目のTE、ETL15なら8番目のTEです。
ETLを増やせば増やすほど撮像時間は短縮しますが、
その分トレードオフもたくさんあります。
1. 画像のボケ
複数のTEからなるデータで画像を作成するのでボケてしまいます。
対策はETLを減らすことです。
2. コントラスト低下
例えば、肝臓においてSEのT2強調だとあわい高信号(ややT2値が長い)になるはずなのに、
実効TEより長いTEが多いせいでコントラストが低下し見えにくくなります。
3. 熱量の増加
リフォーカスパルスを短時間に連発するので、
体に与えるエネルギーが高くなり熱くなってしまいます。
特に、3Tで顕著です。
対策は、リフォーカスパルスを180°より少なくして与えるエネルギーを少なくします。
4. 脂肪の高信号化
MT効果やJカップリングの影響から脂肪が高信号になります。
MT効果やJカップリングって何ってなりますが、ここは詳しく知らなくてもいいかもです。
脂肪と水の区別がつきにくいので、脂肪抑制をすることもあります。
きっちりT2強調の画像がほしいときはETLを7~9で、
高速に画像を取得したいときはETL15~30くらいでしょうか。
腫瘍のちゃんとしたT2強調がほしいときは、ETLを少なく。
存在診断や浮腫や炎症があるのがわかればいいときは、ETLを多くですね。
T2強調では、TRを長くすればコントラストやリフォーカスパルスから由来する熱の問題を解決する方向になります。
ですが、FSEでT1強調を撮像する場合は、
TRを長く設定できないので問題解決は難しくなります。
T1強調、T2強調ともに高信号で脂肪か血腫か区別がつきにくい場合、
T1強調の脂肪抑制を追加するのがおすすめです。