MRI ASL
ASLはarterial spin labelingの略です。
造影剤を使用せず、灌流を評価するものです。
そんなうまい話あるの?と思いますが、あります!
もちろん、造影剤を使うのと同じようにはいかないですが。
原理
脳を対象に書きます。
脳に流れてくる頚部の動脈にラベリングパルスを印加します。
そして、脳に流れてくるタイミングで撮像します。
ラベリングあり画像となし画像を差分すると灌流が評価できるわけです。
造影剤を使用するperfusionと比較すると、ASLではCBFしか評価できません。
ですが、造影剤を使用しないので救急や経過観察で何度も撮像するのにむいています。
ラベル方法
ASLの種類はおおきくわけて2つです。continuous ASL(CASL)とpulsed ASL(PASL)です。
CASLは、continuous なので連続パルスを印加します。
SNは高く、SARも高くなります。
PASLは、pulsed なので単発パルスを印加します。
SNは低く、SARも低くなります。
CASLはSARが高く使用しにくいのでPASLが使用されていました。
PASLはSNが低いので、多数の加算が必要で撮像時間が長いことが欠点でした。
これらを改善するため、2つの混合したようなpseudoCASL(pCASL)が開発されました。
CASLの連続パルスを短時間の分割パルスに変更し、
CASLよりSARは低く、PASLよりSNは高いというすぐれものです。
post label delay
ASLの最も大切なところは、post label delay(PLD)です。
PLDはラベリングパルスを印加してから、データ収集するまでの待ち時間です。
これが適切でないと、灌流評価はあいまいなものになってしまいます。
通常は1.5s程度ですが、血管に狭窄がある場合は
ラベルしてから血液が流れてくるまで時間がかかるので2.5sなどが用いられます。
PLDとしては1TR内で1delayのみ撮像するsingle phaseと
1TR内で複数delay撮像するmulti phase があります。
灌流が遅れても対応できるmulti phaseがよいと思いますが、
1TR内に何度もデータ収集するのでSNが低くなります。
そのためSNの高いsingle phase ASLで撮像する方が多いです。
いつASLを使用するのか?
脳梗塞のdiffusion/perfusion mismatchがみたいとき。
血流の上昇がみたいとき。
腫瘍の血流がみたいとき。
などが考えられます。
diffusion/perfusion mismatchとはDWIでの拡散異常より広範囲に灌流異常があることです。
つまり、DWIでの脳梗塞の範囲よりもASLでの灌流低下がおおきいことです。
これは梗塞がおこってごく初期の場合(数時間)にみられます。
血管狭窄よりも塞栓など急におこった場合のほうが、みられやすいと思います。
ほかにもASLが役にたつ場面があります。
それは、灌流が上昇している場合です。
炎症やてんかんなど血流が上昇しているとき、ASLはとても活躍してくれます。
DWIでもある程度わかりますが、DWIはあくまで拡散異常です。
灌流異常にはASLを撮像しないと正確な評価はできません。
ASLを撮像しはじめて気づいたことですが、脳梗塞などの血流低下だけでなく
血流上昇による疾患も多いのです。
ASLはメーカーオプションの場合が多いと思いますが、
絶対いるなっていう撮像です。