DWI
DWIはdiffusion(拡散)を強調する撮像法です。
近年のMRIではとても重要な役割をはたしています。
現在では脳ばかりでなく、全身で利用されています。
MRI画像を構成するコントラストはT1、T2、プロトン密度、灌流、拡散などがありますが、
その中で拡散現象をとらえるものがDWIです。
シーケンスとしてはEPIが用いられ、励起パルスの間に拡散用傾斜磁場を印加します。
この拡散用傾斜磁場の強さを表すのがb値ですね(砂浜じゃないよ)。
脳ではb値は1000s/mm2が用いられます。
b値200 s/mm2以上から拡散を強調したものになり、
それ以下では灌流を強調したものになります。
b値をいくつにするかは部位によって異なります。
b値大きくするほど拡散を強調することになりますが、
正常部位の信号は低下するので、いくつにするかは難しいところです。
前立腺では正常でも拡散が抑制されていますので、
高いb値2000 s/mm2などが用いられる場合もあります。
逆に、血流信号だけ落としたい場合は、5 s/mm2などが用いられます。
DWIではT2強調もふくまれるので拡散のみ評価したい場合はADCmapを利用します。
DWIの高信号の原因がT2延長に起因するものをT2 shine throughと呼びます。
ADCmapはb値を2値以上測定したものから計算した画像になります。
ADCmapでは拡散が制限されたものほど低信号、
DWIでは拡散が抑制されたものほど高信号になります。
脳でいえば急性期の梗塞が高信号、脳実質が中、脳室が低信号になります。
梗塞部は浮腫で細胞の動きが抑制されているので高信号、
脳室は脳脊髄液で拡散の制限がないので低信号ですね。
また、腫瘍では細胞が密になっているので拡散が制限され高信号になります。
DWIは正常部位が低信号になるので低いSNが欠点です。
これを解消するには、TEを短くすることや、Matrixを少なくしたり、
加算を増加するなどが考えられます。
また、DWIは通常横断像で撮像されます。
その理由は横断像が最もデータ量が少ないからです。
冠状断や矢状断では折り返し抑制のため撮像断面より多くデータ収集しなければならず、
ゆがみがひどくなってしまいます。
ですので、横断像が最もゆがみのすくない画像になります。
DWIについて語ってしまいました。わかりました?