こんにちは、つよしです。
今回は3D Vane XDのデータ充填率の比較です。
3D Vane XDというのはFE系の3D収集の体動補正となります。
これ使ってみたかったのです。
呼吸をしながらT1強調を撮像できるなんて夢のよう。
通常のデータ収集はk-space直交するようにデータを充填します(Cartesian)。
それに対して体動補正のシーケンスは放射状に充填するのですね(Radial)。
このためCartesianのk-spaceのデータがすべて充填されたものが100%とすると、Radial系ではk-space辺縁のデータが足りなくなってしまいます。
このため100%よりデータを多く充填する必要があるのです。
2Dのradialでは160%以上データ収集をすることがすすめてあります。
3D Vane XDのときはどうかというと、こちらも160%以上をすすめてあります。
ただ、3Dだけにスライス方向のデータも画像再構成に使用できるので、160%より少なくても大丈夫かもしれません。
よって3D Vane XDのデータ量を比較する実験です。
装置はIngenia 3.0T R.5.7 Troso coil使用。
体動補正シーケンスですが、とりあえずの特徴をつかむということで静止したファントムを使用しています。
TR : 5ms, TE : 1.96/ 3.3ms, 1×1×5mm mDIXON法のin phase画像で比較しました。
1 Cartesian 0:48
これがリファレンス。
2 3D Vane XD 60% 0:34
Cartesianより少ないデータ量を設定しました。
驚くべきことにスライス面がCartesianと違うようになっています。
設定を間違えたかと思いましたが、スライス方向のデータも利用して画像再構成するのでこんな結果になったと思います。
Radial収集特有のストリークアーチファクトがひどい。
SNも低く、この設定は無理がありますね。
3 3D Vane XD 80% 0:45
ストリークアーチファクトは減少しています。でも、SNは低いですね。
4 3D Vane XD 100% 0:56
予想外でしたが100%でアーチファクトは改善、SNも上がっています。
理論ではもっとデータ量がいるはずですが、静止したファントムなのでこういう結果になったと思います。
5 3D Vane XD 120% 1:07
ここからはSNが上がっていきます。
6 3D Vane XD 140% 1:17
7 3D Vane XD 160% 1:28
8 3D Vane XD 180% 1:39
あとは同じ傾向でした。
もうちょっと細かい点の見え方が変わるかなと予想したのですが、ほとんど変わりませんでした。
実際に体動があると大きく異なるとは思いますが。
3D Vane XDはナビゲータを利用した呼吸同期でも撮像できます。
この結果を考えるとナビゲータで同期するときは160%以下のデータでもよさそう。
実際の臨床でも120%でも大丈夫なときもありました。
逆にイマイチなこともあります。
正確に呼吸の動きに同期ができているかどうかが重要ということです。
うまく同期できればデータは少なくてもよい。
同期ができていなければデータは多い方がいいでしょう。
また、自然呼吸で撮像する場合は、160%ではなくもっとデータ量が必要になりそうです。
これも動きの量によるので一概に言えません。
呼吸同期しながらT1強調を撮像する機会は少ないですが、3D Vane XDは役に立ちそうです。
以上です。
さようなら!