大動脈弓部からの頚部MRAはmDIXONを使用するのがオススメです。

投稿者: | 2021年6月16日

こんにちは、つよしです。

 

今回はMRIについてです。

まだ使用していない方はぜひどうぞ。

装置はフィリップスIngenia 3T でCSなしです。

コイルはHEAD coilとTORSO coilを使用します。

 

大動脈弓部からの頚部MRAにはmDIXONを使用するのがたいへんオススメです。

 

というのもmDIXONを使用すると脂肪抑制がほぼ完全に効きます。

mDIXONでは4種類画像を作成できますが、必要なのはwater画像です。

撮像範囲は大動脈弓部から頸動脈錐体部までの範囲です。

 

撮像は4スタックに分けてトランスバースで撮像しています。

ひとかたまりにすると流入効果が弱まるので。

 

FOV:200(AP), 300(RL), 70(FH) mm, 93スライス

1.2 × 1.2 × 1.5 (-0.75) mm

これを2スタック。

こちらは頭部側。

 

FOV:200(AP), 300(RL), 90(FH) mm, 120スライス

1.2 × 1.2 × 1.5 (-0.75) mm

これも2スタック。

こちらは胸部側。

 

HEAD coilよりTORSO coilはSNが低いこと、また、構造的に頚部より胸部はSNが低くなります。

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これを補正するために下の方のスライスを多くしてSNが補うよう設定します。

 

SENSE:RL2, FH 1, (頭部側), RL 1.8, FH 1 (胸部側)

fold over direction : RL

REST : 1 , parallel 60mm, gap : default, power 1

TR : 15, TE : 1.5, 2.7

3D FFE T1

Fold over suppression : no, slice over sampling : default

flip angle : 10, water fat shift : minimum, NSA : 1

 

頭部側1:26 × 2

胸部側2:02 × 2

トータル撮像時間6: 56

 

設定上は約7分で撮像できます。

実際にはコイルサーベイ、リファレンススキャンをそれぞれのスタックごとに撮像するので時間はのびます。

 

この撮像は流入効果だけでなく脂肪抑制が効くので横に流れる鎖骨下動脈もかなりキレイに描出されます。

 

ただし大動脈弓部付近は動きがあるところなので、キレイに描出されない場合もあります。

 

この撮像があまりにうまく撮像されるので、頭部MRAにも使用してみるか考えました。

 

ただ、これはやめました。

理由は2つです。

 

mDIXONは当院にある装置ではマルチチャンクが使用できません。

(もしかしたら新しいリリースでは使用できるかもですが)

 

このため脳という狭い範囲でもマルチスタックにしないと流入効果が弱まります。

撮像後モビビューで画像をくっつける作業が必要になります。

そうするとくっつけた画像にくっつけたマークが入ってしまいます。

これはすごくジャマです。

 

もうひとつの理由はmDIXONではピクセルを小さくできません。

TEを2つ取得するためだと思われます。

 

通常の1つTEを取得する3D FFE では0.5mmなどに設定できます。

しかし、mDIXONでは1mm程度までが精いっぱいです。

 

このため脳のMRAには適していません。

 

ということで大動脈弓部からのMRAにはmDIXONを使用するのがオススメです。

やったことない方は、ぜひ1度お試しを。

 

以上です。

さようなら!

 

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カテゴリー: MRI