MRI SAR

投稿者: | 2017年9月22日

MRI SAR

 

SARとはspecific absorption rateの略です。

被写体に与える熱のことです。

与えたエネルギーでMR信号にならなかったものは、被写体の熱になっているわけです。

結構、MRIは効率悪いのです。

 

MRIの被写体になったことがあるならわかると思います。

MRI検査ってわりとあついです。

特に、腹部や腰椎などです。

意識してシーケンスを作っていないと、かなり熱くて汗だくになったりします。

 

では、この理由を説明します。

SARはσD(B0θR)2/ρに比例します。

この式は知っておいたほうがいいです。

σは被写体の電気伝導度、Dduty cycleB0は静磁場強度、

θはflip angleRは球の半径(被写体の半径)、ρは密度です。

Rが大きくなるほどSARは高くなるので、体格がいい方ほどSARは高くなります。

 

そして、σ、R、ρは変えられません。

その他の項目でSARをコントロールすることになります。

 

B0は静磁場強度なので、変えることはできません。

静磁場の2乗に比例するから3Tを使用するだけで簡単にSARは高くなってしまいます。

1.5T3T両方あれば、

SARをなるべく下げたいときは1.5Tを使用するだけで全然違うのです。

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duty cycleRFを印加する間隔です。

echo spaceを変更すれば多少SARを軽減できますが、ほとんど変わりません。

そもそもeco spaceを自由に変更することも難しいと思います。

 

結局、flip angleSARをコントロールするわけです。

flip angleは与えるエネルギーなので、小さくすればするほどSARは低くなります。

特に、3TではSARの制限で撮像時間が長くなるので

flip angleを下げることはとても有効です。

 

トレードオフは与えるエネルギーが少ないので、信号が低下することです。

たとえばT2強調で水の信号が弱くなったりします。

FSET2強調ではで脂肪も高信号になるので、

水が低信号となり脂肪と区別がつかないと、

がっかりなT2強調になってしまいます。

 

ただし、これもflip angleと緩和時間によります。

TRが短い場合はflip angleが低いほうがT1回復はやく、高信号になるかもしれません。

MRIって複雑ですね。

なのでどのくらいだったらいいよとは言えません。

 

基本的にFSEは、リフォーカスパルスを連発するのでSARは高くなります。

FSEでもT2強調はTRを長くしてflip angleを下げればSARは下げることができます。

ですが、T1強調はTRを長くできないためSARを下げることが困難です。

 

どうしてもT1強調を高速に撮像したいときは、GREに変更するのもありでしょう。

GREは高速ですが、リフォーカスパルスを用いないし、flip angleもひくいですからね。

SEとのコントラストは変わりますが。

 

よい画像を撮像することは基本ですが、

与える熱量をコントロールできてプロと呼べるのではないでしょうか?

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カテゴリー: MRI