MRI 折り返しアーチファクト
今回は、折り返しアーチファクトについて考えます。
折り返しアーチファクトがFOV外のものが折り返って
FOV内に写りこむアーチファクトのことですね。
折り返しアーチファクトは周波数、位相エンコード方向のどちらにも起こります。
ですが、周波数エンコード方向は通常発生しません。
周波数過剰サンプリングや高周波除去フィルターなんかをMRI装置がかってにやってくれますからね。
要はすぐにできるので周波数エンコード方向の折り返しは発生しないのです。
問題は位相エンコード方向です。
これは今でも問題になります。
位相エンコードは0度から360度までわりあてられます。
FOVの中に被写体が収まっていれば問題ありません。
ですがFOVの外に被写体がある場合、
FOV外も同じように位相が割りあてられるのでFOVの内と外の区別がつかなくなります。
頭部のサジタル画像で小さいFOVのとき鼻が後頭部に写ったりしますよね。
位相エンコード方向の折り返しを防ぐには、
- FOVを被写体すべて含むようにする。
トレードオフは撮像時間の延長もしくは、分解能の低下です。
ピクセルサイズそのままでFOVを拡大すると撮像時間は延長します。
マトリックス数そのままで、FOVを拡大すると分解能が低下します。
- 局所コイルを使用する。
径の小さいコイルを使用すると、範囲外の信号は受信しないので、
折り返しアーチファクトは発生しにくくなります。
- FOV外に飽和パルスを印加する。
通常のシーケンスをはしらせる前に、FOV外に飽和パルスを印加すると、
その場所から信号は出なくなります。
残念ながら正確にFOV外にきっちり飽和パルスを印加することはできないようですが。
- 局所励起を使用する。
これが最近のテクニックですね。
スライス選択傾斜磁場をFOV内だけにおさまるように印加します。
そして、RFパルスを印加すればFOV内からのみ信号が出るわけです。
90度と180度パルスを印加するときのスライス選択傾斜磁場を微妙にずらして、
FOV内だけスライス選択傾斜磁場を印加するのです。
SE法の場合は90、180度と2回励起するので局所励起も考えやすいですが、
GRE法の場合1回だけの励起なので、
2項パルスのように1回の励起を2回に分割して局所励起を行うようです。
すばらしい技術です。
もし、この説明がわかりにくい場合、
頭のなかでパルスシーケンス図を思い浮かべるとよいと思います。
RF、スライス選択、位相、読み取りですね!
思い浮かばない場合は勉強が足りません。
3D撮像の場合はスライス方向にも折り返しアーチファクトが発生します。
これを防ぐにはスライス方向も過剰に撮像し、いらない部分を廃棄します。
もちろん、その分撮像時間は延長します。
さらにFOV外のスライス方向にも飽和パルスを印加する場合もあります。