MRI STIR

投稿者: | 2017年8月19日

MRI STIR

 

STIRはshort TI inversion recoveryの略です。

脂肪信号を抑えた反転回復法ですね。

FLAIRはfluid attenuated inversion recoveryの略で、

fluidという単語を用いることで、

水信号を抑えた撮像というはっきりした単語でした。

 

ですが、STIRという撮像法は脂肪という言葉はでてきません。

なぜでしょう?

水と同じT1を持つ物質はありません。

人体では水だけがダントツ長いT1です。

なので、FLAIRは水信号しかゼロにしません。

 

STIRの場合、短いTIを使用します。

1.5Tの場合、脂肪のT1は250ms程度です。

人体では脂肪がもっともT1が短いですが、

造影剤を用いてT1短縮がおこると

必ずしも脂肪だけの特異的なT1ではなくなる可能性があります。

このため脂肪を鑑別したいときは、STIRは適していません。

 

ということでSTIRは短いTIを用いて、

脂肪のT1を持つ信号をゼロにする撮像法になります。

 

TIは目的物質×0.693です。

脂肪を対象にしているので、1.5Tならば250ms×0.693=170ms

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3Tならば、もう少し長いTIを使用します。

220msとか。

 

STIRの特徴は磁場の不均一に強いことです。

ケミカルシフトを利用した脂肪抑制では、

磁場の不均一で3.5ppmという前提がくずれて脂肪抑制不良になります。

 

STIRは、ケミカルシフトではなくT1値に依存するので

磁場の不均一に強くなります。

このため、低磁場装置の脂肪抑制には有用です。

さらにガントリーの端や、

広範囲の脊椎など磁場の不均一が目立つ部位の脂肪抑制に

STIRは役立ちます。


短いTIにより信号の解釈がむずかしくなります。

脂肪以外の組織はT1が長いので縦磁化の回復は考えると、

マイナス信号になります。

バックグラウンドよりマイナス信号になるため、絶対値表示を行います。

これにより、T1とT2の両方を強調したような画像になります。

 

短いTIのため、脂肪以外のすべての組織の縦磁化が

回復途上にあるところから信号収集がはじまるのでSNが低くなります。

 

TEの設定としては、短いTE20msとかではSNを高くしたい。

長いTE100msとかでは、病変だけ目立たせたい。

どちらも欲しいときは中程度のTE50msなどを使用します。

 

どのTEにしても、脂肪は抑制されるので

SNと病変検出を天秤にかけるわけです。

 

まとめるとSTIRは、

組織のT1にターゲット

脂肪抑制だけど、脂肪に特異的ではない

絶対値表示する

SN低い

となります。

 

ケミカルシフトを利用した脂肪抑制は決まれば、SNも高く有用ですが、

広範囲の脂肪抑制がきくSTIRはとても役に立つ撮像法といえます。

 

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カテゴリー: MRI